山善「ヒューマノイドロボット導入の課題と期待 業種別調査」
ものづくり産業 主要11業種1,100人にアンケート
山善「ヒューマノイドロボット導入の課題と期待 業種別調査」
4割以上が導入意向。「人手不足の解消」「作業の安定化」に期待
一方、「コスト」「安全性」「故障・停止」の不安などが導入の障壁
「半導体」業界はヒューマノイドロボット導入の牽引(けんいん)役に
~ 54.9%が「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」に期待 ~
ものづくり商社のリーディングカンパニーである株式会社山善(本社:大阪市西区、代表取締役社長:岸田貢司)は、日本の産業構造を支えるものづくり産業におけるヒューマノイドロボット導入意向と実態を探るため、ものづくり産業11業種別に携わる管理職以上の責任者1,100人を対象に調査した「ヒューマノイドロボット導入における課題と期待に関する業種別実態調査」を実施しましたので、その結果を発表いたします。
【調査結果詳細】 Ⅰ. ものづくり産業のヒューマノイドロボット導入意向と理由
◆導入意向と理由
全体の導入意向率(「導入済み・導入予定」 「ぜひ導入したい」「条件が整えば導入したい」の合計)は4割以上
ヒューマノイドロボット導入において44.2%が導入に前向きな姿勢を示しました[図 1]。
導入意向の理由は、1位の「人手不足の解消につながると感じるため」が63.2%と抜きんでて高く、現状の課題や将来の不安要素が浮き彫りに。2位の「人によってばらつきが出る作業を安定化できそうなため」(47.3%)も約5割が回答しています。
「単調な繰り返し作業を自動化できそう」(42.2%)、「重量物の運搬や身体的負担の大きい作業を任せられるため」(41.6%)も4割以上となり、単調な作業や人が担うのが大変な分野での期待もうかがえる結果となりました。
8位「人件費削減が見込めるため」(18.5%)は2割以下にとどまっており、単にコストメリットを求めて導入したいと考える傾向は低いようです[図 2]。
◆非導入意向と理由
どの業種も導入意向率の方が非導入意向率(「全く導入したくない」「あまり導入したくない」の合計)よりも高い中、全体では18.7%と約2割が非導入の意向。現状では「判断できない」(37.1%)との回答も約4割となりました[図1]。
非導入意向の理由としては、「導入コストが高いと感じるため」(51.9%)、「投資に見合う効果が得られるか判断できないため」(28.6%)と、コスト面に関する不安が多いことがわかりました。「ロボットに置き換えるほどの作業がないため」(28.2%)も約3割が回答しました。
解説ものづくり産業の商社 (株)山善 ~ヒューマノイドロボット最前線の現場から~
【解説者担当者紹介】
株式会社山善 ヒューマノイドロボット市場開発 担当課長 北野 峰陽
ロボットメーカー、システムインテグレーターなど多様な立場で培った経験を生かすべく、2019年に山善に入社。産業ロボットが皆無だった建設現場や福島の放射性廃棄物処理現場で導入の道を切拓き、現在はヒューマノイドロボット市場開発の先頭に立つ
【調査トピック一覧】
Ⅰ. ものづくり産業のヒューマノイドロボット導入意向と理由 ( P.1 )
・ものづくり産業11業種のヒューマノイドロボット導入意向率は 44.2%で4割以上に。非導入意向は18.7%、「判断できない」(37.1%)は約4割に。
・導入意向の理由は 「人手不足の解消につながると感じるため」が63.2%で1位に。次いで「人によってばらつきが出る作業を安定化できそうなため」(47.3%)がランクイン。
Ⅱ. 導入意向業種ランキングと活用用途 ( P.3 )
・業種別に見た導入意向率 1位は「半導体」(54.0%)で5割以上に。2位は「自動車」「一般機械」「ロボット・産業用自動化機器」で、それぞれ 50.0%の結果に。
・ヒューマノイドロボットを活用したい場面・業務の1位は「これまでのロボットではできなかった属人化している作業」(54.5%)。2位は「重量物の運搬・持ち上げ」(51.2%)、3位は「単調だが人手を取られる繰り返し作業」(50.4%)で、上位3項目は5割以上に。
【業種比較】ヒューマノイドロボットの導入意向について ( P.4 )
・ものづくり産業11業種全てで、ヒューマノイドロボット導入意向が非導入意向を上回った。
・特に「電子部品」「半導体」「医薬品」はヒューマノイドロボット導入により「人によってばらつきが出る作業の安定化」に期待。
【業種比較】ヒューマノイドロボット導入意向タイプの業種別分析まとめ ( P.5 )
・「半導体」は導入の意向・導入の確度がともに最も高く、ヒューマノイドロボット導入の牽引役に。
・「電子部品」「一般機械」 「食品」も確度が高めで、導入を推進しやすい傾向が見られた。
・「医薬品」は確度が低く、「運輸・運送・倉庫業」「化粧品」も低めで、現状は導入に慎重な姿勢。
Ⅲ. ヒューマノイドロボット導入の障壁と導入条件 ( P.6 )
・導入にあたっての不安・障壁では「導入・運用コスト」(50.8%)が最も高い。
・製造や物流の現場におけるヒューマノイドロボット導入を前向きに検討できるようになるための条件では「導入・運用コストの目安が明確である」(34.5%)の他、「人が最終判断・監督する運用体制」(28.5%)、「明確な安全基準・ガイドライン」(25.0%)が上位に。
【業種比較】ヒューマノイドロボットの導入を前向きに検討するための条件 ( P.7)
・多くの業種で最も重視される「導入・運用コストの目安が明確」は、特に「一般機械」(43.0%)、「食品」 (42.5%)、「半導体」(40.0%)で4割超え。
Ⅳ.「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」構築プロジェクトに対する期待 ( P.8 )
・54.9%と過半数が「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」構築プロジェクトに前向きな評価。
・特に高精度の技術や厳格な品質管理が求められる「半導体」(64.0%)、「医薬品」(60.0%)では6割以上が期待。
・提供されるデータや仕組みに期待することでは「動作精度・安全性が向上すること」(52.0%)が最多。
【業種比較】「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」に期待すること上位3項目 ( P.9 )
・「食品」は「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」が提供するデータや仕組みにより「動作精度・安全性が向上すること」「高品質で信頼性の高いデータが得られること」の両方で最も高い期待度を示す。
| 「ヒューマノイドロボット導入における課題と期待に関する業種別実態調査」
・調査対象:全国の 20~69 歳の男女のうち、ものづくり産業(運輸・運送・倉庫業、一般機械、自動車、電子部品、電気機械、半導体、化学工業、食品、医薬品、化粧品、ロボット・産業用自動化機器)に携わる管理職以上の責任者 1,100 人
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2026 年 2 月 5 日(木)~2 月 9 日(月)
※構成比(%)は小数第 2 位以下を四捨五入しているため、合計しても 100 にならない場合があります。 |
【調査結果詳細】Ⅱ.導入意向業種ランキングと活用用途
◆導入意向業種ランキング
導入意向率について、業種ごとの特徴を見ました。
1位は「半導体」(54.0%)で5割以上に。導入意向のうち「ぜひ導入したい」(17.0%)の割合も11業種中で最も高く、ものづくり産業におけるヒューマノイドロボット導入の牽引役となりそうです。2位の「自動車」は、導入意向50.0%のうち「条件が整えば導入したい」(33.0%)の割合が多く、前向きである一方で慎重に判断したい段階にある企業が多いといえそうです。5位の「食品」(48.0%)は「導入済み・導入予定」(13.0%)の割合が11業種中で最も高く、具体的な計画段階にある様子もうかがえます。6位の「電子部品」(47.0%)は、「ぜひ導入したい」(16.0%)の割合が高い一方、「導入済み・導入予定」(4.0%)が低く、条件や課題のクリアが鍵となりそうです。7位「医薬品」(43.0%)は「判断できない」(45.0%)と「条件が整えば導入したい」(35.0%)の割合が11業種中で最多で、求める基準や条件に合えば導入を検討したい傾向が見られました。
全業種で導入意向率は3割を超える結果となりました[図 3]。
◆各業種での希望活用用途
「電子部品」「電気機械」「半導体」で、属人化している作業への活用意向が高い
ヒューマノイドロボットの活用を期待する場面・業務の1位は「属人化作業」(これまでのロボットではできなかった属人化している作業=組み立て、目視による品質判定など)(54.5%)となりました。
業種別に見ると、「属人化作業」は「電子部品」(76.6%)、「電気機械」(65.9%)、「半導体」(61.1%) で高く、精密性や品質管理が特に重視される分野で、属人化している工程への補完ニーズの高さがうかがえます。「重量物」(重量物の運搬・持ち上げ=部品や資材の搬送、パレットの積み下ろしなど)は、「電気機械」(68.3%)、「化粧品」(61.1%)で高い結果となりました。
「化粧品」 は「繰り返し」(単調だが人手を取られる繰り返し作業。ピッキング、検品作業など)でも66.7%と高く、運搬や検品などで活用したい意向がうかがえます。
「運輸・運送・倉庫業」では、「重量物」(54.5%)と「夜間・早朝」(夜間・早朝など人が集まりにくい時間帯の作業)(45.5%)がトップ2となり、労働負荷の軽減や人手不足の解消への対応が期待されているようです。
全体では5位の「危険」(危険を伴う作業=高所・高温・狭所での作業など)(27.6%)は、「自動車」(40.0%)で活用意向が高いことが明らかになりました[図 4] 。
【解説】ものづくり産業の商社 (株)山善 ~ヒューマノイドロボット最前線の現場から~ 北野 峰陽
ヒューマノイドロボットの導入意向が4割を超えました。高市首相が年頭会見で「フィジカルAIで日本は世界に打って出る」と述べたことからも、2026年を「ヒューマノイド実装元年」として、現場への導入を現実的に捉える認識が広がっていると感じます。導入意向の理由1位が「人手不足の解消につながる」というのは、どの業種で考えても圧倒的な納得感があります。確実な働き手として、複雑な作業も担えるといった価値は、今後さらに求められていくでしょう。実装の実績、事例が積み上げられることで、導入意向は今後さらに高まると感じます。
【業種比較】ヒューマノイドロボットの導入意向について
◆導入意向・非導入意向の業種ランキング
ものづくり産業11業種全てで、ヒューマノイドロボット導入意向率が非導入意向率を上回る
導入意向率(「導入済み・導入予定」 「ぜひ導入したい」「条件が整えば導入したい」の合計)と非導入意向率(「全く導入したくない」「あまり導入したくない」の合計)を業種別で比較すると、全ての業種で導入意向率が上回りました。「一般機械」は導入意向率は2位、非導入意向率は3位ですが、導入意向率が倍以上と大きく上回りました。現状「判断できない」層も多く、ものづくり産業全体で今後も導入意向が高まりそうです[図 5]。
◆ヒューマノイドロボット導入意向の理由 業種ランキング
人手不足の解消への期待が高い業種トップ3は「化粧品」「化学工業」「運輸・運送・倉庫業」
導入意向の理由[図 2]で1位となった「人手不足の解消」を業種別に見ると、1位の「化粧品」(75.0%)は全体より11.8ポイント、2位「化学工業」(73.5%)は10.3ポイント、3位「運輸・運送・倉庫業」(72.7%)は9.5ポイント高い結果となりました。人手不足の影響を受けやすい現場作業や物流業務を抱える業種で特に割合が高く、ヒューマノイドロボットに対して作業負担の軽減や人員不足の補完といった役割への期待が高まっている様子が本項目からもうかがえます[図 6]。
「人によってばらつきが出る作業の安定化」への期待が高い業種は「電子部品」「半導体」「医薬品」
ヒューマノイドロボット導入意向の理由[図2]で2位となった「人によってばらつきが出る作業を安定化できそう」と回答した割合を業種別に見ると、1位は「電子部品」(68.1%)で全体(47.3%)と比べ20.8ポイント高い。続く2位「半導体」(59.3%)は11.9ポイント、3位「医薬品」(53.5%)は6.2ポイント高い結果となりました。人によってばらつきが出る作業の品質を安定化させるためにヒューマノイドロボットが期待されている様子が本項目からもうかがえます[図 7]。
【解説】ものづくり産業の商社 (株)山善 ~ヒューマノイドロボット最前線の現場から~ 北野 峰陽
ヒューマノイドロボットについて、情報の少なさから懐疑的な方もいる一方、現場責任者は現場での実装の可能性を実感している印象があります。特に半導体業界で関心が高い背景には、ロボットの機体に半導体搭載量が多いことに加え、ロボットを動かす仕組みであるフィジカルAIでも半導体の活用・需要が大きいことがあると考えられます。こうした構造的な理由から、11業種の中でも「半導体」は最新情報への感度が高く、導入意向の高さや具体的な実装イメージにつながっているのではないでしょうか。
クリーン環境が絶対条件の「食品」「電子部品」などでも自動化ニーズは高いですが、変種変量生産の分野や、複雑で属人化しがちな作業での完全自動化はまだまだ難しく、幅広いバリエーションで担えるヒューマノイドロボットによって安定した品質で確実に行うことへの期待感があります。導入によって人は「人にしかできないこと」に注力でき、生産性の向上につながる点は、今後さらなる評価につながっていくと思います。
【業種比較】ヒューマノイドロボット導入意向タイプの業種別分析まとめ
11業種の「導入の意向」(「導入済み・導入予定/ぜひ導入したい」「条件が整えば導入したい」合計)と「導入の確度(強意向比率)」 (「導入の意向」に占める「導入済み・導入予定」/「ぜひ導入したい」の割合)をプロットし、平均線を基準に相対的な位置関係を可視化することで、業種ごとの導入意向タイプを分析しました。
「半導体」をはじめ、「電子部品」「一般機械」「食品」などがものづくり産業におけるヒューマノイドロボット導入を牽引
「半導体」は、導入の意向・導入の確度がともに最も高く、導入を「牽引」する業種の中でも突出しています。「牽引」のカテゴリーに分類された「電子部品」「一般機械」 「食品」も確度が高めで、導入を推進しやすい傾向が見られます。導入の意向が高めで、確度は平均よりやや高い「ロボット・産業用自動化機器」は、判断材料の整備が導入検討の鍵となることが示唆されます。
「自動車」は導入の意向が高めである一方で確度は平均をやや下回る「意向先行」型で、導入判断に必要な条件が整うことを待っている傾向が見られます。
「慎重」カテゴリーに分類された業種の中でも「電気機械」「化学工業」は、確度が平均付近で、具体的な条件がクリアされることで意向・確度が高まる可能性を感じる結果となりました。「化粧品」「運輸・運送・倉庫業」は意向が低め・確度も平均より低く、現状は導入に慎重な姿勢が見られました。「医薬品」は確度は低いものの意向は「慎重」カテゴリーの中では最も高い結果に。業種によって利用場面の明確化や段階的なスタートといった条件提示が、導入検討を進める足がかりになると考えられます[図 8、9]。
【解説】ものづくり産業の商社 (株)山善 ~ヒューマノイドロボット最前線の現場から~ 北野 峰陽
「牽引・意向先行・確度先行・慎重」の4象限は、非常に納得感のある結果となりました。突出する「半導体」をはじめ、各業種の位置付けは、実際の現場感覚や営業活動の実感ともかなり近いと感じます。「牽引」カテゴリーに入った「食品」は深刻な人手不足があり、「導入しないと事業継続が難しい」という切迫度が高いと感じます。「自動車」は先進的に切拓く、判断条件がそろうまでは慎重など、業種によってタイプのばらつきが大きく、唯一の「意向先行」型になったと思います。「電子部品」のように品種もライン変更も多い「変種変量」の業種でも期待度が高いと思います。高い衛生・品質管理が求められる「化粧品」や「医薬品」は現時点では慎重ですが、導入事例が積み上がることで一気に意向が高まる可能性があります。
【調査結果詳細】 Ⅲ.ヒューマノイドロボット導入の障壁と導入条件
◆導入にあたっての不安や障壁
「導入・運用コスト」がトップに。安全性も重視
導入にあたり不安な点や障壁を聞くと、トップ3は「導入・運用コスト」(50.8%)、「作業中の安全性」(33.1%)、「故障・停止時の影響」(25.8%)となりました[図 10] 。
業種別の特徴を見ると、導入意向率が最も高い「半導体」は「故障・停止時の影響」(39.0%)、「既存設備との相性」(27.0%)、「雇用への影響」(19.0%)、「自社データの外部との連携」(17.0%)の4項目で業種中最も多くなり、導入実現に向けて不安や障壁も具体的であることがうかがえます。
「導入・運用コスト」では、「化粧品」「ロボット・産業用自動化機器」(ともに59.0%)が最も高くなりました。 「ロボット・産業用自動化機器」は「作業中の安全性」(45.0%)でも最も高い結果に。一方、「化粧品」は「社内決裁者の理解が得られない」(22.0%)で最も高く、コスト面のクリアが社内決裁の鍵となりそうです。
「自社導入での活用場面がわからない」は、「医薬品」(30.0%)、「運輸・運送・倉庫業」(28.0%)が3割程度と他業種より高く、自社環境での活用用途を思い描けていない現状があるようです。「医薬品」は「現場教育・オペレーションの難しさ」(30.0%)でも最も高くなり、現場での協働や教育面がハードルとなっている様子がうかがえる結果となりました。
◆導入を前向きに検討するための条件
最大の導入条件は「コストの目安が明確である」こと。人が管理し、協働できることも前向きな検討への材料に
製造や物流の現場におけるヒューマノイドロボット導入を前向きに検討するための条件について、1位は「導入・運用コスト(初期/月額/保守等)の目安が明確である」(34.5%)で、多くの企業にとってコストの明確さが具体的な検討につながることがわかりました。2位は「人が最終判断・監督する運用体制」(28.5%)で、全てをヒューマノイドロボットに任せるのではなく、人との協働が望まれています。3位の「明確な安全基準・ガイドライン」(25.0%) 、4位の「トライアル導入や、一部工程からの試験的な導入」(24.6%)は約4人に1人が回答。最初から全面導入ではなく、小さなステップから段階的に始めたいという声も多いようです。
トップ 7項目はいずれも 2割以上となり、コスト面、人による管理・協働体制や高い安全性に加え、既存体制との相性や性能も条件となっていることがわかりました[図 11]。
【解説】ものづくり産業の商社 (株)山善 ~ヒューマノイドロボット最前線の現場から~ 北野 峰陽
コスト面は、導入の障壁としても、前向きに検討するための条件としても1位となりました。ヒューマノイドロボットの今後の量産効果や、今後私どもも整備を進めるレンタル・リースの活用、データや運用のサブスク・リカーリング化などにより、初期導入・ランニング費用の負担を下げることは十分可能となっていきます。例えば、急な人手不足が生じた際には、高額な日雇い人材を苦労して確保するのではなく「ヒューマノイドロボットをレンタルする」という選択肢も生まれます。
今後の運用方法として、複数台のロボットのお守り役や、相棒として人と一緒に働く等の働き方の変化も可能になると考えます。また、商談先のほとんどの企業が「一度現場で試したい」と希望されますので、「トライアル導入」の整備も進めていきたいと考えています。
【業種比較】ヒューマノイドロボットの導入を前向きに検討するための条件
業種ごとに異なる条件に即した情報整備が、ヒューマノイドロボット導入を進める鍵に
「どのような条件やデータが準備されれば、製造・物流現場での導入を前向きに検討できると思うか」の回答トップ6項目について、それぞれの上位となった業種の傾向を分析しました[図 12]。
多くの業種で最も重視される「導入・運用コストの目安が明確」は、特に「一般機械」(43.0%)、「食品」(42.5%)、「半導体」(40.0%)で4割を超えており、費用対効果の見積もりや社内決裁に必要な情報を整備することが、検討を進める前提となることが示唆されます。
「人が最終判断・監督する運用体制」は「食品」(35.0%)で最も高く、「一般機械」(31.6%)、「ロボット・産業用自動化機器」(31.3%)が続き、リスク管理や統制が特に重視されています。「明確な安全基準・ガイドライン」は「ロボット・産業用自動化機器」(32.5%)に次いで、「半導体」(32.0%)、「食品」(31.3%)が上位で、安全面の担保が重要となっています。「トライアル導入や一部工程からの試験的な導入」は「化粧品」(29.2%)、「一般機械」(27.8%)、「自動車」(27.7%)で高く、小さなステップからのスタートが望まれています。「セキュリティ/データの安全性が担保されている」は「医薬品」(30.4%)が最も高く、「食品」(28.8%)、「半導体」(28.0%)が続き、データ保護や管理体制に対する要求水準の高さがうかがえます。「既存設備や工程との相性が明確である」は「半導体」(26.7%)、「ロボット・産業用自動化機器」(26.3%)、「食品」(25.0%)で高く、現場導入に向けた確度が重視される様子がうかがえます。これらの結果から、業種特性によって導入条件が異なる傾向が見えてきました。主な傾向を以下にまとめます。
◇「一般機械」:コストの透明性に加え、小さなステップから進める段階的な導入設計
◇「食品」:人による管理体制や安全基準への関心が高く、安全・安心を担保する運用設計
◇「半導体」:安全基準・セキュリティに加え、既存工程との連携など現場導入の確度を高める設計
◇「ロボット・産業用自動化機器」:人による管理体制・安全・現場との適合を重視した導入設計
◇「医薬品」:セキュリティに加え、既存工程との適合を明確にする運用設計
【調査結果詳細】
Ⅳ.「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」構築プロジェクトに対する期待
当社は、ヒューマノイドロボットの社会実装を加速させるため、ヒューマノイドロボット向けに最適化されたヒューマノイド・フィジカルデータ生成センター(以下、フィジカルAI・ロボットデータ収集センター)構築プロジェクトに参画しています。最大50台が同時稼働する大規模なトレーニング環境で、ヒューマノイドロボットを「賢く早く育てる」トレーニングを行うことが可能です。
◆データ集積センターへの期待度
過半数(54.9%)が「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」に前向きな評価
国内における「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」構築プロジェクトに期待している(「とても期待している」「まあ期待している」の合計)との回答は54.9%となり、ものづくり産業全体で期待度が高いといえそうです。また、「わからない」(21.9%)は2割程度で、理解が進むことでさらなる期待拡大の余地があることも示唆され、ヒューマノイドロボットの社会実装を支える取り組みへの関心は今後も広がっていくことがうかがえる結果となりました[図 13] 。
◆データ集積センターへの期待度 業種ランキング
「半導体」「医薬品」では6割以上。特に精密さが求められる業種で高い期待度に
業種別では「半導体」(64.0%)、「医薬品」(60.0%)、「電子部品」(59.0%) 、「ロボット・産業用自動化機器」(57.0%)が期待度の高いトップ4業種となり、特に高精度の技術や厳格な品質管理が求められる業種が並びました。「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」によるデータ収集が、ヒューマノイドロボット実装の加速要因となる可能性が示唆される結果となりました [図 14] 。
◆データ集積センターへ期待すること
「精度と安全性の向上」に最も期待が集まる
「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」が提供するデータや仕組みへの期待としては、「動作精度・安全性が向上すること」(52.0%)が1位となり、実用レベルでの高い信頼性が求められていることがわかりました。続く「高品質で信頼性の高いデータが得られること」(38.6%)は約4割で、質の高さを価値と捉える声が多く上がりました。また「自社でデータ収集を行う負担やコストが軽減されること」(32.3%)も3割以上となり、共同基盤としてのセンター活用への期待が感じられます [図 15]
【解説】 ものづくり産業の商社 (株)山善 ~ヒューマノイドロボット最前線の現場から~ 北野 峰陽
「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」への期待度は54.9%と非常にポジティブで、データ活用が競争力を左右するという認識の広がりを示していると感じます。期待される「動作精度・安全性の向上」に加え、「高品質で信頼性の高いデータ」「コスト軽減」「開発スピード向上」「日本の産業・環境に即したデータの蓄積」は、まさに本センターの存在意義であり、私たちが実現したい価値そのものです。業界のトップランナーが集まるコンソーシアム形式であることも大きな特徴で、複数企業の知見とデータを結集し、大規模なデータ生成や検証環境のコストを分担できるため、各社の導入ハードルを下げつつ、社会実装のスピードを一段と加速させることができると考えています。
【業種比較】「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」に期待すること上位3項目
以下は、「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」が提供するデータや仕組みに期待することについて、上位3項目の回答を業種別に見た結果です。
◆「動作精度・安全性が向上する」
日常生活を支える「食品」「運輸・運送・倉庫業」や、生産現場を支える「一般機械」で高い
「動作精度・安全性が向上すること」を特に期待する業種トップ3は、「食品」(59.3%)、「一般機械」(56.4%)、「運輸・運送・倉庫業」(54.7%)に。日常生活に直結し、ライン停止が致命的となる業種で、人材不足は特に深刻な影響を及ぼすと考えられます。ヒューマノイドロボットによる「動作精度・安全性の向上」で、再現性向上、品質安定化、時刻を問わない稼働など、働く人の負担軽減にもつながる可能性が示唆され、多くの業種が高い期待を示しました[図 16]。
◆「高品質で信頼性の高いデータが得られる」
生活者に近く、厳格な品質・衛生管理が求められる「食品」「化粧品」「医薬品」で高い
「高品質で信頼性の高いデータが得られること」を特に期待するのは「食品」(55.6%)、「化粧品」(47.9%)、「医薬品」(45.0%)となりました。特に生活者に近く、厳格な品質・衛生管理が前提にある業種であり、企業のブランドや信頼を守り、厳しい規制への対応も支えることができる「高品質で信頼性の高いデータ」を心強いメリットとして期待する様子がわかる結果となりました[図 17]。
◆「自社でデータ収集を行う負担やコストが軽減される
安定的な稼働や安全性が重視される「化粧品」「運輸・運送・倉庫業」「化学工業」から特に期待を集める
「自社でデータ収集を行う負担やコストが軽減されること」への期待度では、「化粧品」(43.8%)、「運輸・運送・倉庫業」(41.5%)、「化学工業」(39.1%)がトップ3となりました。いずれも品質の安定、稼働の確実性、安全性の確保が重視される業種です。本項目では、「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」を共同基盤として活用できる強みとして、コスト面にとどまらず、成長を加速させながらも安全性を高めるなど、幅広い効果につながる点が評価されていると考えられます[図 18]。
【解説】ものづくり産業の商社 (株)山善 ~ヒューマノイドロボット最前線の現場から~ 北野 峰陽
これまでは「ヒューマノイドロボットの実装はまだ先」という見方が一般的でしたが、今回の結果は「いよいよ現場導入が現実味を帯びてきた」という期待の表れだと受け止めています。加えて、日々の報道などで耳にする機会が増えた「フィジカルAI」という概念の浸透も、関心を後押ししていると考えます。
私たちも参画する「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」は、ヒューマノイドロボットの自律動作に不可欠な高精度のフィジカルデータを国内で生成し、実装の最短ルートを「切拓く」ことを目指しています。近い将来、現場の働き方を抜本的に変える一翼を担えると確信しています。
日本の国際競争力を高め、産業の“勝ち筋”をつくる存在となるべく、これからも先頭となって取り組んでいきます。今後にぜひご期待ください。
最大50台が稼働し、日本の産業に特化したデータを蓄積。
2026年夏稼働の「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」
山善は、ヒューマノイドロボット(人間に似せた形状のロボット)向けに最適化された「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」の構築プロジェクトに参画しています。本プロジェクトは当社が2025年4月より業務提携しているINSOL-HIGH株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:磯部宗克)が中心となって運営するコンソーシアム型の取り組みで、ヒューマノイドロボットの社会実装を加速させるため、製造・物流・ロボティクス分野の先進企業に対して、本プロジェクトへの参加を呼びかけ、業種業界を横断した連携体制で推進しています
◆ ヒューマノイドロボットを「賢く早く育てる」。高品質で汎用的な学習データを蓄積
本プロジェクトでは、ヒューマノイドロボットを最大50台稼働させる大規模なフィジカルAI・ロボットデータ収集センターを構築します。参画企業は複数台のロボットを活用して動作データを収集し、データ化のノウハウを習得するとともに、作業自動化に向けた学習モデルを構築します。さらに、各社が取得したデータを活用し合うための共有データ基盤を整備し、実作業に基づくデータを体系化してINSOL-HIGH社のデータプラットフォームに集約します。これにより、高品質で汎用的な学習データを蓄積し、人の作業を幅広く再現可能にすることを目指します。最終的には、各社が自社固有のノウハウや秘匿性の高い業務に対応するデータを生成し、独自の自動化モデルを開発することで、コスト削減と作業効率の向上を図ります。
「フィジカルAI・ロボットデータ収集センター」構築プロジェクトの特徴
・最大50台のヒューマノイドロボットが同時稼働する大規模なトレーニング環境
・他の自動化ソリューションとヒューマノイドロボットの統合運用
・業種業界を横断した企業による効率的な技術開発とノウハウ共有
・実際の製造・物流現場を模した環境での実用的なトレーニング実施
【株式会社山善について】
工作機械、産業機器、機械工具、自動化ロボットなど、世界のものづくりを支える「生産財」と、快適で便利な住まい・オフィス環境をつくる住宅設備機器や、くらしを豊かに彩る生活用品などの「消費財」を提供する専門商社です。生産現場の自動化提案、脱炭素社会へ向けた省エネ事業の推進、生活者のニーズを具現化した商品の開発など、変化する時代に対応したソリューションを様々な分野で提供しています。
今後も当社は、パーパスである「ともに、未来を切拓く」のもと、世界のものづくりと豊かなくらしをリードしてまいります。
以上
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