山善は、2026年9月8日〜11日まで東京ビッグサイトで開催された『国際物流総合展2026』に出展した。今回のテーマは「人と運ぶを考える山善」。製造現場・物流現場が直面する人手不足、荷待ち・荷役時間の削減、資材価格高騰、脱プラスチックといった課題に対し、「運ぶ」と「積む」の2つの自動化アプローチから、現場改善につながるソリューションを紹介した。各ソリューションの提供価値について、産業ソリューション事業部 戦略開発部 部長の奥山が紹介する。

  
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「運ぶ」から始める現場の自動化
多彩なAMRで広がる現場改善の可能性

ブースでは、搬送を自動化することで作業者の負担を軽減し、人がより付加価値の高い業務に集中できる環境づくりを提案した。搬送ロボットには、磁気テープなどの誘導帯に沿って決められたルートを走行するAGV(無人搬送車)と、マップ情報をもとに仮想ルートを設定して走行するAMR(自律搬送ロボット)がある。今回の展示では、工事不要で導入しやすく、さまざまな現場で活用できるAMRを中心に紹介した。

『まずは“物を運ぶこと”の自動化から、現場全体の効率化を考えていきたい。これなら自動化できるかもしれない、と思っていただける展示を心がけました。』(奥山)

屋内外をシームレスにつなぐ
悪路にも対応する「YAMAZEN AMR」


台車を牽引しながら傾斜を上る「YAMAZEN AMR」

台車を牽引しながら傾斜を上る「YAMAZEN AMR」

YAMAZEN AMR
参考出展として紹介した「YAMAZEN AMR」は、屋外搬送や建屋間搬送を見据えた、タフな足回りが特長のAMR(2027年秋発売予定)。スズキ製の多目的電動台車「MITRA(ミトラ)」を足回りに採用し、工場内の溝、段差、傾斜、鉄板、グレーチングといった悪路面での走行にも対応する。さらにIPX4の防水性能で、小雨程度であれば屋外走行でき、牽引能力は500kgを想定する。

『日本の工場や倉庫は、既存敷地内での増築(建て増し)が多く、建屋内の通路幅も狭いため、建屋を跨いだ搬送が課題です。展示会でも、コンパクトなAMRで屋内外をシームレスに行き来できる点を評価いただいたほか、牽引対象とAMRの自動連結・自動切り離しへの要望も多くいただきました。
一方で、製品化に向けてはバッテリー容量が課題です。2027年秋の販売に向け、1日8時間の稼働を目標に、コストとのバランスを見ながら開発を進めていきます。』(奥山)

導入しやすさでシェアトップに 
100万円以下・狭所対応の「カチャカ Pro」


カチャカPro本体

カチャカPro本体


カチャカProの連結・搬送イメージ

カチャカProの連結・搬送イメージ

カチャカPro
「カチャカPro」は、2023年の発売以来、導入を着実に拡大している小型AMR。富士経済「2026年版国内自律走行ロボット市場分析」において、2025年実績のメーカーシェアでトップを獲得した。約30kgまで搬送でき、約550mm幅の狭い通路でも走行できる点も魅力で、複数台運用やエレベーター連携も対応可能な優れモノだ。

『搬送ロボットは高額なものも多い中、「カチャカ Pro」は100万円以下というコストパフォーマンスの良さを実現。自動化に手つかずのお客様から、第一歩を踏み出すのに最適な商品だと好評いただいています。その用途は幅広く、これまで人が歩いて運んでいた部品や製品だけでなく、伝票や書類の搬送など、導入事例はさまざまです。操作画面が直感的に使えるよう仕上げてあり、使いやすさも、シェアを獲得できた理由の一つだと思います。』(奥山)

現場の台車をそのまま搬送
100kg可搬・500mm幅を走行可能な「カチャカEvo」


棚や台車をリフトアップして搬送する「カチャカEvo」。コンテナボックスを乗せた樹脂製搬送棚「EvoPa」を運搬している。

棚や台車をリフトアップして搬送する「カチャカEvo」。コンテナボックスを乗せた樹脂製搬送棚「EvoPa」を運搬している。

カチャカEvo・EvoPa
「カチャカ Evo」は100kg可搬に対応した2026年6月登場の新作モデル。リフトアップ方式により、カチャカEvoが台車・棚の下に潜り込み、そのまま搬送する。また、山善では専用の樹脂製搬送棚「EvoPa(エヴォパ)」も開発。ハニカムコア材を採用することで、約3.3kgという軽量性と高剛性を両立。50Lコンテナを2個並べて搬送できる。

『「カチャカ Evo」の強みはなんといっても、狭い通路もスイスイ走行できるコンパクトな車体でしょう。工程間搬送やカゴ台車を使った出荷場までの搬送など、現場で日常的に発生していた作業の置き換えを想定しています。』(奥山)

「積む」をもっと効率的に
グルーシステムで実現する省人化と脱プラスチック


YZロボット-Pシリーズ-グルー仕様

YZロボット-Pシリーズ-グルー仕様

接着剤で荷崩れを防止、ストレッチフィルム使用量を約80%削減!
「YZロボット Pシリーズ グルー仕様」

「YZロボット Pシリーズ グルー仕様(2027年春発売予定)」は、垂直多関節ロボットによるパレタイズ作業と、荷崩れ防止用接着剤の塗布を1台で行うシステム。段ボールの底面に水溶性接着剤を塗布しながら積み付けることで、作業の自動化と荷崩れ防止を同時に実現する。使用する接着剤は、水平方向の力には強く横滑りしないが、荷解き時に垂直方向の力を加えると簡単に剥がせる優れモノ。省人化、コストダウン、サステナビリティを同時に実現できると、多くの来場者の関心を集めた。


『ストレッチフィルムの自動包装機は、大手企業を中心に普及が進んでいますが、まだ導入していない企業では、作業者さんが何度もパレットの周りをまわってフィルムを巻いており、見ていても大変な作業です。そして巻かれたフィルムは、納品先でゴミになります。このグルーシステムでは、ストレッチフィルムの使用を約80%削減でき、脱プラスチックや廃棄物削減といった環境負荷低減にもつながります。
すでにパレタイザを導入している荷主・物流企業さんからは、既存システムへの組み込みなど、グルーシステム単体での引き合いもいただきました。ストレッチフィルムの保管・廃棄問題は、業界全体に共通する課題だと改めて感じました。』(奥山)

現場の“人”に寄り添い、持続可能な物流へ

一言で自動化といっても、最初からフルオートメーションを目指すのは容易ではない。まずは身近な作業から自動化し、現場の負担を一つずつ減らしていくことが重要だ。
『どこかに無駄な動きがあれば、解消方法を見出すのが私たちの役割です。直接現場に足を運び、課題を確認しながら、導入前の検討からアフターサービスまで伴走しています。ROI(投資利益率)をもとに費用回収の目安も示し、現場全体の効率化まで含めて提案しています。』(奥山)

今回の展示会でも、「人にしかできない仕事に集中したい」という声が多く聞かれた。物流現場には身体的負担の大きい作業も多く、自動化による環境改善は、人材確保の面でも重要だ。
自動化の目的は、人の仕事をなくすことではない。人が担うべき仕事に、もっと集中できる現場をつくることだ。「運ぶ」「積む」という身近な作業から一つずつ見直し、現場の負担を減らしていく。その積み重ねの先に、山善が描く、持続可能な物流の未来がある。

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※このインタビューは2026年9月に行いました。部署名等は取材当時のものです。