
2021.09.29
- 社員インタビュー
お客様の問題を解決できる販売スキームを作る――住建・小岩が担う全国規模の仕事!
- 住建事業部
- 営業社員
住建事業部 マーケティング部長
川﨑 太暁
Motoaki Kawasaki
「ZePlus」がサポートする脱炭素時代の住宅施工
2022.11.02
世界的な脱炭素の潮流は、地場産業である住宅業界にも押し寄せている。建材や設備機器の提案・販売を行う山善の住建事業部は、この大きな波に立ち向かう中小工務店やビルダーの強力なサポート役だ。川﨑太曉(住建事業部 マーケティング部長 兼 商品開発室長 兼 スマートエネルギー推進室長)が、その具体的な取り組みについて語った。
脱炭素の流れは住宅業界にも大きな影響を及ぼしています。
政府が「2050年カーボンニュートラル」を宣言したこともあり、エネルギー消費で大きな比重を占める住宅についても脱炭素化は必須となりました。消費エネルギーをほぼゼロに抑えようというZEH(ゼッチ/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が注目されているのはそのためです。
実は国内における住宅の脱炭素への取り組みは遅れています。住まい手がデザインや価格を優先して断熱性能などを二の次にする傾向にあることも要因ですね。だからこそ供給側が脱炭素をリードしていかなくてはなりませんが、大手ハウスメーカーはともかく、中小の工務店やビルダーは脱炭素に関するノウハウが乏しい。住宅業界にとって大きな課題と言えます。
ノウハウの不足はどのような点で足かせになるのでしょうか。
2025年度以降に建てられるすべての建築物に、省エネ基準への適合が義務化されました。これは大きな分岐点です。これまで難なく通っていた建築確認申請も省エネの観点から厳格に審査されるようになりますし、施主が住まいを選ぶ目も厳しくなるでしょう。こうした変化に適応できるか否かで、企業の明暗が分かれると思います。
そんな中小の工務店やビルダーをサポートするのが「ZePlus」ですね。
政府の肝いりで始まったZEH普及への取り組みは、まだまだ道半ばです。特に中小の工務店は、ZEHを手がけるにはリソースが不足していると感じています。そこで、"ZEHのひとつ上をいく″をコンセプトに、ZEH基準を上回る断熱性や省エネ性能の構造材をフルパッケージ化して工務店やビルダーに提供するのが「ZePlus」(https://www.zeplus-pc.jp/)です。“+αの付加価値を持つゼロエネルギーハウス”というのが、ネーミングの由来です。
特徴について教えてください。
「自給自足の工夫」「心地よさの工夫」「安心安全の工夫」の3点を基本コンセプトとする住宅です。「自給自足」については毎日の光熱費を抑えるだけでなく、電気のストックによって万一の電力供給ストップ時に備えています。「心地よさ」については、断熱性能を高めて冷暖房の効き目をアップし、家中どこでも快適に過ごせます。「安心安全」については、構造体の強度を高めて地震の揺れに耐える「耐震性能」と、地震の揺れを吸収する「制震性能」の二つで万全の地震対策を実現しています。
工務店にはどんなメリットがあるのでしょうか。
「ZePlus パートナーズクラブ」に加盟していただくことで、山善からは「営業サポート」「設計サポート」「販促サポート」の3つを提供します。
「営業サポート」では、きめ細やかな営業マニュアルや研修を用意し、営業経験が浅い方でもZEHの営業として即戦力となるようにしました。「設計サポート」では、断熱性能などエネルギー削減のための複雑な計算を支援。例えば「長年のランニングコストを考えれば、安価なアルミの窓枠よりもやや高価な樹脂製の方が安く付きます」といったご提案力にもつながるはずです。そして「販促サポート」。最近はYouTubeやInstagramで家を探す人が増えており、従来以上に見た目が重要になってきました。いわゆる“映える”画像が不可欠になっています。そこで人を惹きつける建築写真の撮り方のアドバイスや、パース作成、邸別プレゼン資料の作成を支援します。
手応えはいかがですか。
とても好評です。「人手が限られている中、面倒な計算やパース作成の手間がいらないので助かる」「エネルギー削減効果が一目瞭然で、施主に納得してもらいやすい」といった声をいただいています。現在の加盟社数は約60社(2022年9月現在)となっています。またZEHの上位である、LCCM住宅(建築から廃棄まで、ライフサイクルを通じてCO2収支をマイナスにする住宅)に準じた、アッパーモデルの開発も検討中です。
「もっとこうしておけばよかった」など、住まいづくりで後悔しない人はほとんどいません。また四季の寒暖差がはっきりしていて、地震の多い日本においては、より高い居住性や耐震性が求められます。そうしたニーズに応えるためにも、安心して快適に過ごせる住宅を追求して、ご提案していきたいと考えています。
非住宅分野への提案にも力を入れていますね。
当社では、2022年4月に自家消費型のエネルギー活用提案に取り組む「スマートエネルギー推進室」を立ち上げました。これまで一般企業の事業所では自社の太陽光発電などでつくられた電力を買ってもらう収益型の取り組みが中心でしたが、現在は電力の地産地消、つまり自社で発電した電力を自社で消費する仕組みが広がっています。これは電力コストの削減だけでなく“ESG経営に取り組むグリーン企業”というイメージづくりに大きな効果があります。こうしたニーズに対応するために誕生した専任チームが「スマートエネルギー推進室」。ありがたいことに引き合いが殺到しており担当者が全国を忙しく飛び回っています。
山善では初期投資不要で再生可能エネルギーの地産地消が可能な「PPAモデル事業」も展開しています。再エネの自家発電を希望する事業所は、自社で再エネ発電施設を所有するか、PPAにて導入するか、山善に相談すればどちらも選べるというわけです。
今後の展望について教えてください。
住建事業部では商社としての立場のもと、仕入れ先様と工務店様、ビルダー様とともに、住宅というインフラづくりを通じて社会課題の解決に取り組んできました。これは私が入社以来、受け継いできた不変のスピリットです。山善のパーパス「ともに、未来を切拓く」そのものといえるでしょう。今後も取引先の皆さんと連携しながら脱炭素に取り組み、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきたいですね。
※このインタビューは2022年9月に行いました。部署名・役職等は取材当時のものです。
住建事業部 マーケティング部長 兼 商品開発室長 兼 スマートエネルギー推進室長
山善独自のZEHソリューション「ZePlus」の立ち上げから携わり、工務店やビルダーのサポートに注力。脱炭素時代における住宅業界の新常識として確立・浸透させることで、社会課題の解決を目指す。