
2023.11.29
- 展示会レポート
【MECT2023 Report】 売上に直結しない“後工程”の自動化がもたらすメリット
- TFS支社
複数台分の業務を1台でこなし、
生産現場の効率化を図る!
次世代型のロボット用最新モビリティシステム
「ROBO-COTATZ(ロボこたつ)」を販売開始
2025.01.14
2024年度上半期の「人手不足」関連倒産は過去最多となった2023年を上回り、初めての100件を超えた。そのため製造業の現場では、作業者と同じ空間で動かすことができる協働ロボットや、搬送作業を代替する自動搬送ロボット(AGV・AMR)の需要が日々高まっている。
これに対応すべく山善トータル・ファクトリー・ソリューション支社(以下、TFS支社)は、協働ロボットに加え自動搬送ロボットを最適配置し、効率的かつ低コストで自動化する次世代型のロボット用最新モビリティシステム「ROBO-COTATZ(ロボこたつ)」をグループ会社である東邦工業(広島県広島市)と共同開発し、そのプロトタイプとなるシステムを、「2023国際ロボット展」にて展示。
その一年後であり、本システムの販売開始となる2024 年 11 月 28 日(木)当日、開発拠点である東邦工業本社の社屋内で記者発表会を開催。TFS支社長 中山勝人、技術サポート部長 植島代志和、東邦工業株式会社 社長執行役員 丸山洋彦の3名による紹介が行われた。
近年、労働人口の減少が社会問題として深刻化しており、自動化・省人化による労働生産性向上への取り組みの重要性が、日本のものづくり業界全般で高まっている。
山善TFS支社はこれらの課題に対して、各事業部や国内のグループ会社と連携し、自動化をはじめとする生産現場のソリューションをトータルに提案。その中でも協働ロボットや自動搬送ロボットを活用した、コンサルティングやサービス提供に力を入れていている。
一方で、生産ラインが多品種でそれぞれの生産数が大きくない現場や検査工程での自動化は、協働ロボットや自動搬送ロボットの台数ばかりが増えてしまうだけで、それぞれの稼働率は下がり、費用対効果が高まらないといった課題がある。この解決に向けて、協働ロボットと自動搬送ロボットを組み合わせて生み出されたのが、「ロボこたつ」である。
「新システム「ロボこたつ」は、自動化しても費用対効果が高まらないという課題を解決するものです。(こたつのように)台座部分に乗せた協働ロボットと、それを運ぶ自動搬送ロボットを組み合わせたロボこたつは、ロボットや設備を移動させることで、”必要なときに”、“必要な場所へ”、”最適に”配置し、台数とコストの最適化を実現します」(TFS支社長 中山勝人)。
「ロボこたつ」は、こたつのような形をした本体が重要な特徴であり、TFS支社技術サポート部と東邦工業との共同開発を意味する「Corporated Technical Aid of TOHO And YAMAZEN」から文字を抜粋し、名付けられた。
台座となる本体の上に協働ロボットを設置し、自動搬送ロボットが下に潜り込み本体ごと持ち上げることで、自動的に別の作業場所へ移動させる仕組みに。これにより、複数工程間で協働ロボットを共有することができる。
従来の協働ロボットと自動搬送ロボットが一体化したタイプでは、協働ロボットが作業している間、自動搬送ロボットはその場に止まっている必要があった。ロボこたつは、台座のこたつの部分と自動搬送ロボットの部分を分離できるため、協働ロボットの作業中に自動搬送ロボットは別作業をさせることができる。また、現場に合わせて各ロボットの機種選定や組み合わせを柔軟に決めること、工程レイアウトの変更も最少で済ませることも可能に。協働ロボットと自動搬送ロボットのどちらかにトラブルが起きた際も、一体型のようにどちらの作業もできなくなるというリスク回避にもつながる。
「ロボこたつは、ロボットの台数の最適化、機種選定や組み合わせの柔軟な対応、そしてリスクの分散を実現。更には台数の最適化、削減による大幅なコスト削減が可能です。つまりは製造現場の新しい「自動化の選択肢」となります」(技術サポート部長 植島代志和)
今回の新システムの発表会は東邦工業本社のある、広島市安佐北区で実施。東邦工業は1959年、木工機械、農業機械の製造工場として創業。地元の自動車産業を中心に、製造ライン等を一貫してオーダーメードで設計・制作するビジネスを展開してきた。2017年からは山善のグループ会社となり、SIer(システムインテグレーター)として自社工場も実証実験の場として活用しながら、総合的なサービス提供を目指す過程で生まれたのが、「ロボこたつ」である。
当日は「ロボこたつ」をはじめとした、同社が持つ最新サービスや技術をデモとともに披露する「TOHO Technical Session」も開催され、地元広島県の自動車産業など製造業事業者を中心に、多くの来場者で賑わっていた。
イベント内では、TFS支社と共同開発した「ロボこたつ」を支える、汎用性の高い技術も、デモとともに紹介されていた。
移動した先で、作業対象物との位置ずれを自動で感知し、修正する「ロボットハンドカメラによる位置決め補正」や、プラグを使わずとも充電できる「産業用バッテリー無線充電」。協働ロボットの作業終了時に、自動運搬ロボットを呼び出し次の作業ポイントまで誘導する通信を行う「無線通信制御」。複数台の自動運搬ロボットを管理し指令を下す「YOUI Fleet」のシステム活用などの技術である。
「これらの技術を半年以上前から自社で実証実験し、つまり使いこなすことで、東邦工業はAMRシステムを提案できるシステムインテグレーターに進化することができました」(東邦工業株式会社 社長執行役員 丸山洋彦)
↓↓↓ロボこたつも登場する「TOHO Technical Session」の様子はコチラから!
https://www.youtube.com/watch?v=7vRzT47rAU8
「ロボこたつ」は機能の拡張性もあり、協働ロボットだけでなく、駆動コンベア、ストッカー、検査装置などを搭載すれば、現場に合った最適なソリューションを提供できるシステムになっている。
導入価格はロボこたつと、テックマン社の協働ロボット、YOUIBOT社のAMRのセットで1,680万円~を想定。今年度の販売台数は10セット(案件)を目標としている。
「山善TFS支社は、自動化に必要な要件定義を行い、新システムである要素技術を当社グループ会社や外部のシステムインテグレーターと共に開発・製造し、人手不足の課題解決に向けた自動化・省人化をサポートしていきます。そのために、2024年8月に新大阪に移転した協働ロボットテストラボを、ロボットメーカーやシステムインテグレーター、ものづくり企業といった幅広い企業にご活用いただく共創の場となることを目指しながら、最大限活用していきます」(技術サポート部長 植島代志和)
“第2のロボこたつの誕生”を目指して、様々なパートナーとの協働は続く。
↓↓↓ロボこたつに関してもっと知りたい方、お問合せのある方はコチラから!