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製造業における品質改善とは?具体的な方法や実施時のポイントを解説
2024.02.01
製造業における製品の品質は、会社の成長や信用度を左右する重要な要素です。そこで顧客から選ばれ続けるためには、競合に勝つ画期的な製品を生み出すだけでなく、既存製品の品質改善に注力することが必要です。品質の安定は顧客の信用を確保し、また、品質改善で品質不具合を減らすことは、再製作にかかる材料や電力消費を抑え、環境負荷低減にもつながります。
今回は製造業における品質改善とは何を指すのか、実現するための具体的な方法やポイントとともに解説します。
製造業の持続的な発展を叶えるためには、QCDの最適化が重要です。QCDとは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の3つの要素を指しており、中でも製造業において最重要とされるのが品質です。
生産管理の分野で見ると、品質改善は下記の2つの指針から成っています。
・業務の品質改善
・製品・サービスの品質改善
ここでは業務の品質改善と製品・サービスの品質改善、それぞれについて解説します。
業務の品質改善とは、製造ラインにおける工程管理のことです。生産性を向上させるために欠かせない対策が製造プロセスの効率化や合理化といったものです。
業務の品質改善を進めると、ヒューマンエラーの発生を抑えられたり、不良品率の改善を図れたりするといった製造プロセス全体の生産性向上につながります。
製造プロセスとあわせて製品・サービス自体の品質を見直すことも大切です。製品・サービスの品質改善は顧客満足度に関連するため、企業にとって重要な経営課題でもあります。
設計や性能、デザイン、アフターサービスなどのあらゆる観点から品質管理を行い、顧客の求める製品・サービスを目指して改善します。例えば、スタイリッシュでシンプルなパッケージが多くの顧客に「分かりにくい」と評価された場合、デザインを大幅にリニューアルするといったことがあげられます。
ここでは品質改善に取り組むうえで欠かせない2つの観点を解説します。
1つ目は、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の観点です。製造プロセスで5Sを意識することで、ムダ・ムラを解消して全体の品質改善を図れます。
整理 | 必要なものと不要なものを判別 |
整頓 | 製造プロセスに適した資材配置を行い、生産におけるムダを削減 |
清掃・清潔 | 製造ラインを清掃または点検して清潔な状態に保つ |
しつけ | 「整理・整頓・清掃・清潔」の4つを従業員に習慣付けてもらう |
品質改善を実現するためには、製造プロセスに関わる全員に5Sを意識してもらうことが必要です。
2つ目は、4M(Man・Machine・Material・Method)の観点です。品質改善は人・機械・材料・方法の4つの視点に分けて考えることが大切です。
Man(人) | 製造プロセスに関わる従業員の数やスキルを指す |
Machine(機械) | 生産設備や機械を指す |
Material(材料) | 材料の質だけではなく、調達手段やコストとの兼ね合いを指す |
Method(方法) | 製造プロセスにおける作業内容の見直しを指す |
上記4Mを基準に製造プロセスや環境を検証・改善することで、不良品が発生する背景や原因がわかり、生産性の向上につなげられます。
品質改善に取り組むときは、下記の7つのプロセスに沿って進めます。
名称 | 定義 | 詳細 | |
1 | 可視化 | 言語化・図式化する | 製造プロセスの流れや作業、改善すべき範囲などを言語や図式で可視化する。 |
2 | 定量化 | 測定して数値化する | データ測定の結果を数値化して、具体的に分析できる状態にする。 |
3 | 課題化 | 問題点の明確化 | 問題点を抽出して、具体的な解決策やKPIを設定する。 |
4 | 実践化 | 品質改善案を実践 | 作成した品質改善案を実際に試して、PDCAサイクルを回しつつブラッシュアップしていく。 |
5 | 標準化 | マニュアル化 | 作業手順やスキルの属人化を防ぐために、マニュアルを作成して情報を統一・共有する。 |
6 | 自動化 | ITシステムの活用 | オートメーション化できる部分をITシステムに任せて、アナログ作業を減らす。 |
7 | 定着化 | 長期的な維持・確立 | 効率的な品質改善方法を定着化させるために、研修制度の確立や手順書の改善などを行う。 |
例えば「最近、不良品が増えてきた」という事象を改善したい場合、まずは直近の不良品率や過去の数値を可視化して、比較する作業が必要です。不良品率がどれくらい増加しているかを明確な数値で算出して、原因を探ることで改善策を検討します。
改善策を実施して品質改善方法を確立させたら、マニュアル化して共有したり、ITシステムの活用で効率化を進めたりして定着させることが大切です。
品質改善を進めるときは、5Sや4Mの観点から解決策を検討するだけではなく、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
ここでは品質改善を考えるうえで、視野に入れておきたい4つのポイントを解説します。
まずは、自社にとっての品質改善の目的・目標を明確化することが大切です。自社の品質改善においてもっとも重視したい部分は何なのか、目的を明確化したうえで改善案を模索しましょう。
目標とする品質レベルも「高品質を目指す」といった曖昧なものではなく、具体的な言語や数値で示すことが大切です。
効果的な改善案を考えるためには、現状把握が欠かせません。
その際、データを網羅的に収集してボトルネックとなっている領域はどこか、現状の課題は何があるのかを可視化する作業が必要です。
近年、あらゆる分野でデジタル技術が急速に発展・普及しています。製品・サービスのライフサイクルもデジタル技術の発展によって短期化が進んでいるため、品質の改善を継続的に行う必要があります。
PDCAサイクルを回す習慣を浸透させ、現状分析・効果検証を定期的に実施しましょう。
品質改善に大きく影響する要素のひとつが人材の確保です。
限られた人的リソースを確保しつつ、品質改善も実現するためには一部の業務を自動化させる工夫が必要です。ITやAI技術を活用して、人手不足の課題を解消しましょう。業務の自動化により、ヒューマンエラーの減少や作業スピードの向上も期待できます。
株式会社山善TFS支社では、製造ラインの自動化に適したロボットやIoT、ICTなどの導入を支援しています。現状抱えている課題や目指す品質改善に対して、最適なFA化(ロボットやAIシステムなどの導入)ができるようにサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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品質改善は、5Sと4Mの観点から製造プロセスを見直すことで実現できます。適切な人員配置や作業方法が検討されているか、製造ラインに整理整頓が行き届いて清潔に保たれているかなど、複数の視点で確認することが大切です。
近年はITやAI技術を活用した手法も含めて、自社の環境や予算に合った最適なソリューションの導入を検討しましょう。抱えている課題に対してどのようなFA化が効果的なのか、株式会社山善TFS支社にぜひご相談ください。
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