
2024.03.28
- お役立ちコラム
生産性の向上とは?製造業で取り組むべき施策と成功のカギ
- TFS支社
人手不足解消&競争力維持のカギを握る「協働ロボット」を体感!
山善の「協働ロボットテストラボ」がJR新大阪駅近くに移転・拡充
2024.10.08
少子高齢化による労働人口の減少で、製造業の人手不足は深刻さを増している。2023年度の「人手不足」関連倒産は191件と、前年度の2.4倍にまで急増。調査を開始した2013年度以降、最多を更新している。(※東京商工リサーチ調べ)
そうした中、製造現場の自動化・省人化を実現し、人手不足を解決する救世主として注目を集めているのが、協働ロボットだ。山善は、2022年に本社2ビルに開設した「協働ロボットテストラボ」をこの度移転。面積を3.5倍に拡大したことで施設も拡充、多様なニーズに対応していく。オープンに先駆け、報道向けの施設公開がおこなわれ、本施設の責任者であり、トータル・ファクトリー・ソリューション(TFS)支社の技術サポート部長を務める、植島代志和が説明をおこなった。
新「協働ロボットテストラボ」ができるまで
2021年1月、展示施設の開設を皮切りに、2022年10月には大阪本社第2ビルに移転させ、「協働ロボットテストラボ」と改称し、開設した。そして2024年8月、JR新大阪駅から徒歩圏内の場所に移転し、従来の面積の約3.5倍となる308.65m2に拡大し、施設の拡充を果たした。ここに世界トップレベルの協働ロボットメーカーの製品が並び、導入前のテストや操作訓練、情報交換の場など、多岐にわたる用途で活用されることになる。
移転を決めた大きな理由は「立地」。前年度実績の企業のほとんどが他府県からの来場だ。今期掲げる目標は、協働ロボットの受注台数が40%増、「協働ロボットテストラボ」への来社数100社。これらの目標を達成するために、ラボへのアクセスの良さは必須条件だった。
企業の「自動化・省人化」を担うTSF支社
山善の「協働ロボットテストラボ」を運営するトータル・ファクトリー・ソリューション支社(以下、TFS支社)は、ものづくり企業の製造現場での問題点についてトータルで提案し、自動化、省人化の提案を強化する目的で2021年4月に新設した組織で、4つの専門部隊と技術サポート部で構成されている。主に、国内外のネットワークを生かして調達した部材の製造現場への提供、加工や製造、物流ラインの自動化、改築から新築工事までをワンストップで行い製造現場の「お困りごと」を解決している。技術サポート部は経験豊富な技術スタッフが揃い、この全てソリューション提案をサポートしている。さらに、ロボットメーカーからシステムインテグレーター(SIer:エスアイヤー)など、幅広いネットワークを持っていることで、どのような案件にも対応することができる。
山善TFS支社のサイトはこちら
山善TFS支社 https://tfs.yamazen.co.jp/
「人間と同じ空間で、一緒に働く」協働ロボット
協働ロボットとは、従業員と一緒に作業できるよう運用できるロボットのこと。これまでの工場で稼働している、いわゆる産業用ロボットは安全確保のために安全柵の設置などの対策が必要であり、そこには基本的に、人が立ち入らずにロボットだけで作業しており、同品種・大量生産向き。それに対して協働ロボットは産業用と比べると簡易的プログラミングの製品が多いため、少量多品目を生産するのに適している。さらに、安全柵などは必要ないことから、人と同じスペースで、文字通り「人の代わりに」作業することが可能だ。
体感重視の「協働ロボットテストラボ」
ものづくり企業が協働ロボットの導入を検討する際に、「壁」となるのが「どんなものかわからない」「実際に自社で活用可能か」そして「操作の訓練ができるか」などの不安だ。日本に拠点のないメーカーもあるため、それらを解消すべく「協働ロボットテストラボ」は、導入検討企業に向けた、実際の導入先の使用シーンに合わせた試運転を可能にするなど、現場そのままの動きを体感してもらうことを重視した。
「新しいラボは、コミュニティスペース、ワークテストルーム1部屋、トレーニングルーム2部屋で構成しています。操作体験や導入前のワークテスト、導入時のトレーニングなど、協働ロボットに関するすべてのサポートをここで実施していきます。2社同時に来社されても、別室でそれぞれトレーニングを受けることが可能になりましたので、お客様の機密をより担保できる、安心できる環境も整備できたのではないかと感じています」(植島)
ここからは各施設について説明していく。
まずは、世界トップの協働ロボットメーカー3社の協働ロボット4台を展示しており、担当スタッフのもと、操作体験ができる「コミュニティスペース」。
大型スクリーンを用いてTFS支社のこれまでの取り組みも紹介している。
「導入を検討中のものづくり企業だけでなく、ロボットメーカーや周辺機器メーカー、SIerが常に集い情報交換するなど、『共創の場』として活用します」(植島)
展示する協働ロボットは、簡単なプログラミングで様々な用途で活用できるTECHMAN ROBOT INC.の「TECHMAN AI協働ロボットSシリーズ」。高い安全性に加え、防塵・防水性を備え、様々な環境下での利用が可能なファナック株式会社の「FANUC CRX-10iA」。双腕計14軸の動作性能を活かした器用さと柔軟性が特徴のABB株式会社の 「YuMi®」など、機能や個性を備えた協働ロボットを、実演を通じて紹介する。
動作速度やロボットアームが持ち上げられる可搬重量など、実機を使って事前にテストする「ワークテストルーム」。
常設している3Dプリンタを使い、ロボットが掴む対象物(ワーク)に合わせたロボットハンド用の爪やワークを固定するなど作業の補助を行う治具を試作できる。治具の取り付けも可能な作業台はL字にすることで、ユーザーが実際の作業に近い状態で動作確認ができるようになった。
また、AI機能が搭載されたロボットで、良・不良品の識別検査のテストも行える。
「来場できないユーザー向けには、試作品の製造からテストの様子など全てリモートで確認できるようになっています」(谷口)
テックマンロボットを購入したユーザーが安全かつ効率的に使用できるよう、実機を用いて操作トレーニングを実施する「トレーニングルーム」を2部屋用意し、種類の異なるロボットを設置する。
産業用ロボット、協働ロボットを製造現場などに導入する際に、受講が義務づけられている「産業用ロボット安全特別教育」も導入企業向けに実施を予定している。
「協働ロボットテストラボ」は、情報のハブとなりえる場所。山善スタッフ、メーカー、そしてエンドユーザーであるものづくり企業といった様々な人々が一緒に課題やアイデアを出し合いながら「共創」し、これからの人手不足時代に必要不可欠な、要素技術の開発・製造を目指す。自動化案件を関係各社とシームレスに共有することで、ビジネス化に向けた提案のスピードと精度も上げていく。
今後は関係各社とのネットワークを拡充させ、これまで主要だった金属加工業はもちろん、三品業界(食品、医薬品、化粧品)、建機、自動車関連、半導体関連など、日本はもちろん世界中の「ものづくり企業」の自動化サポートにも注力していく。
「TFS支社は、これを機に世界最先端の協働ロボットをものづくり企業に普及させるスピードを加速させ、人手不足などの社会課題の解決に向けて本格始動します。トータル・ファクトリー・ソリューションという名前通り、山善に相談すれば、顧客それぞれの悩みがあらかた解決する、そんなものづくり企業に寄り添ったワンストップソリューションを目指しています」(植島)
グローバルに新たな価値を浸透させ、明るい未来を創造していく。先に続くゴールを目指して、TFS支社の挑戦は続く。
※協働ロボットテストラボの詳細やご来場のお問い合わせは下記サイトをご確認ください※
https://tfs.yamazen.co.jp/testlabo/index.html