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カーボンニュートラルと脱炭素の違いとは?関連用語も解説
2024.02.28
近年は、投資家や消費者も環境に配慮した取り組みを重視しています。各企業はイメージアップを図る意味でも、自社の特性を活かした環境保護へのアプローチを行う必要があります。
しかし、カーボンニュートラルや脱炭素など、環境保護に関連する取り組みの中には、違いが分かりにくい単語も少なくありません。
今回は、カーボンニュートラルと脱炭素の違いや、関連する用語について解説します。
近年、環境に配慮した取り組みとして注目されているのが、カーボンニュートラルや脱炭素です。企業のイメージアップ戦略の一環としても、さまざまな業種で取り入れられています。
カーボンニュートラルと脱炭素は、それぞれ取り組みの目的が異なります。
カーボンニュートラルの目的は、温室効果ガスの排出量と吸収量・除去量を均衡させることです。排出量をゼロにするのではなく、森林管理や植林などによって温室効果ガスの排出量と吸収量・除去量のバランスをコントロールし、実質ゼロを目指します。
カーボンニュートラルの対象となる温室効果ガスは、下記の4種類があげられます。
種類 | 特徴 |
---|---|
二酸化炭素 | 石油・石炭などの化石燃料や、紙などを燃やすときに発生するガス |
メタン | 化学燃料の使用・発掘時や家畜のゲップ、糞尿などから発生するガス |
一酸化二窒素 | 窒素肥料を使用したり工業活動を行ったりするときに発生するガス |
フロンガス | 工業分野で製品製造時に発生する、炭素とフッ素が結びついた物質 |
上記のように、温室効果ガスは人為的に発生・吸収されるもののみを指しています。
カーボンニュートラルに取り組むときは、温室効果ガスの種類ごとに地球温暖化への影響力が異なる点も考慮しなくてはなりません。
脱炭素は、二酸化炭素の排出量ゼロを目的とした取り組みです。温室効果ガス(メタンやフロンガスなど)は含まず、二酸化炭素のみを対象としているところが、カーボンニュートラルとの大きな違いです。
また、カーボンニュートラルが何らかの方法で相殺による「実質ゼロ」を目指すことに対して、脱炭素は排出量そのものをゼロにすることを目的とする点も異なります。
1997年の京都議定書やパリ協定にて、各国の温室効果ガス削減目標が定められた結果、世界的に脱炭素への取り組みが注目されるようになりました。
カーボンニュートラルや脱炭素のほかにも、環境への負荷軽減を目指すための取り組みが多く存在します。呼称が似ているものの目的や方法が異なる関連用語もあります。
ここでは、カーボンニュートラルや脱炭素と混同されやすい関連用語6つを解説します。
二酸化炭素の排出量を間接的に削減する方法です。企業によっては、製造プロセスや原材料の都合上、自社での二酸化炭素排出量を思うように削減できない場合があります。自社での削減が困難なとき、ほかの場所で削減できた二酸化炭素の排出量をクレジットとして購入する方法がカーボンオフセットです。
他社が削減した分を購入するため、間接的な削減となります。自社の事業や製造プロセスを大幅に変更せずとも、二酸化炭素の削減に貢献できます。
人為的に発生した温室効果ガスの排出量よりも、吸収量のほうが上回っている状態がカーボンネガティブです。温室効果ガスの排出量が森林や植林が吸収する量よりも少ない状態になるケースは植林活動が活発な企業にみられます。
企業が大規模な植林活動を行い、温室効果ガスの吸収量を向上させれば、産業活動によって生じる排出量を上回ることがあります。排出量と吸収量のバランスをとって実質ゼロを目指す方法よりも、大気中の温室効果ガスを減らせる方法です。
温室効果ガスの排出量をゼロにする取り組みです。森林や植林による吸収量より排出量を少なくして、実質的なゼロを目指す方法です。
カーボンニュートラルと同じく、二酸化炭素以外の温室効果ガスも視野に入れた取り組みです。
製造プロセスなどで人為的に発生する温室効果ガスの排出量を減らす取り組みです。フロンガスなどは対象に含まず、二酸化炭素の減少を目的としています。
「脱炭素」目標が世界的に掲げられる前に、注目を集めていた取り組みです。
特定の地域で行われた脱炭素に関する取り組みが、ドミノ状に周囲へ広がり、全国に浸透する現象のことです。選ばれた脱炭素先行地域を起点として、日本全国に取り組みや意識を広めようとする考え方も脱炭素ドミノに該当します。
起点となる脱炭素先行地域は、応募地域から複数選考されます。
温室効果ガスは、製造プロセスのみならず運搬や廃棄などの場面においても発生しています。ライフサイクルアセスメントは、製品を製造するときに加えて運搬や消費、廃棄・リサイクルに至るまで、すべての過程で発生する環境負荷に着目した取り組みです。
製品のライフサイクル全体で、どの程度の環境負荷がかかっているのかを定量評価します。
例えばリサイクル素材を使用した製品であっても、ライフサイクル全体を通して見ると環境負荷が低いとは言い切れません。製造プロセスで多くの温室効果ガスを発生させたり、ガソリン自動車で運搬したりしているケースがあります。
企業が経営活動の中でカーボンニュートラルや脱炭素に取り組むと、投資家や消費者からのイメージが向上するだけでなく、場合によってはコスト削減も期待できます。企業規模を問わず、比較的取り入れやすい手法もあるため、自社で実践できる範囲から始めてみましょう。
業種問わず実践しやすいカーボンニュートラルや脱炭素の取り組みは下記です。
・再生可能エネルギーに切り替える
・カーボンオフセットを活用する
・温室効果ガスの排出量を把握・管理する
例えば自社で使用しているエネルギーを再生可能エネルギーに切り替えるのみでも環境への負荷を軽減できます。カーボンオフセットを利用して、第三者の力を借りることも大切です。また、温室効果ガス排出量を見える化して正しく管理するために、設備単位でCO2排出量を把握できる「電力見える化システム」もおすすめです。
現在の日本における取り組み内容や企業で取り入れられる手法については、下記の記事で詳しく紹介しています。
企業がカーボンニュートラルへの取り組みを実践するには?事例も紹介
カーボンニュートラルと脱炭素は、どちらも環境保護に関する取り組みを指します。ただし、対象となる温室効果ガスの種類や目的が異なります。自社で環境に配慮した取り組みを始めるときは、用語の混同に注意しましょう。
カーボンニュートラルと脱炭素どちらへ注力するとしても、まずは自社で排出している温室効果ガスの現状を把握することが大切です。設備単位で把握できる「電力見える化システム」を、ご活用ください。
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