
2024.07.08
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パッと外せて、サッと洗える!全分解サーキュレーターが空前の大ヒット!敏腕MDが紐解く山善らしい家電とは
- 家庭機器事業部
家庭機器事業部 第2商品統括部 商品企画2部 課長
泉 圭吾
Keigo Izumi
ヒット商品連発!家庭機器・泉は諦めの悪さで「まさか!」の商品を生み出す
2021.02.01
「YAMAZEN」ブランドのオリジナル家電製品でおなじみの山善ですが、実は家電だけでなくインテリアでもオリジナル商品が数多くあります。その中で、主にデスク、チェア、収納用品の企画開発に携わるのが、家庭機器事業部のMD(マーチャンダイザー)・泉圭吾です。泉が常に目指すのが、ユーザーの想像を超え、「まさか!」と言わせる商品。果たしてそれをどう生み出しているのか。その熱き開発エピソードを聞きました。
山善といえば、たこ焼き器や扇風機などオリジナルの家電製品が有名ですが、実は泉さんが担当するインテリア系商品もよく売れているそうですね?
はい、おかげさまで。特にオフィス向けというより一般家庭向けの商品が多いんですが、アマゾンさんなどネットショップの売上で上位に位置するものがいろいろあります。中でも家庭用デスクは、実はトップシェアをいただいていたりするんですよ。
大人気なんですね!山善オリジナル商品の特徴は何でしょうか?
ありがたいことに、総じてお客様レビューの評価がとても高いんです。特に楽天市場では山善のショップのレビュー平均点が非常に高く、ショップ・オブ・ザ・イヤーを14年連続でいただいていたりもします。ただ、はっきり言って、うちの商品には派手さはないんです。
本当にはっきり言いましたね(笑)
本当にないんですよ、ユーザー様からもよく言われます(笑)。他社様のように、広告を大々的に打っているわけではないですしね。ユーザー様に満足してもらえる商品を一つひとつ真面目につくることで、こうした評価をいただけているのかなと。商品の力、そして営業の力で積み上げてきた安心感があるのだと思っています。
愚直に商品に向き合っている姿勢が伝わっているんでしょうね。泉さんは、商品を開発する際に大事にしているポイントはありますか?
私が常に目指しているのが、お客様に「まさか!」と思ってもらえるような商品です。実は、以前は「なるほど」と言われる商品を目指していました。この機能があったらいいな、とユーザー様がイメージできる範囲のものですね。でも今はなるほどを超え、「まさか!」を常に狙っています。お客様に「そう来るとは思わなかった!」と言ってもらえるような商品です。
「まさか!」と言われる商品…具体的にどんなものですか?
例えば少し前に、ダイソン様の掃除機を立て掛けて収納する、クリーナースタンドという商品を発売しました。
ダイソン様の掃除機には本体を収納するためのアタッチメントが付属していますが、これは壁に穴を開けて設置するタイプのものです。でも、日本の賃貸物件では設置しづらいし、購入した一戸建てでも穴を開けることに抵抗がある方もいらっしゃいます。
そこで、アタッチメントを取り付けられる専用スタンドをつくったんです。しかも、ただのスタンドではなく、プラスαを加えました。
プラスα…?
スタンドのポールを2本ではなく1本にすることで、掃除機を置いて正面から見たときに、掃除機のノズルとポールが重なって、宙に浮いて見えるようにしたんです。
確かに「まさか!」です!
でしょ?ポールが1本だと普通なら安定性に欠けますが、なんとか工夫してそれも解消しました。
その発想はどう生まれたんですか?
ダイソン様の掃除機は、他の掃除機よりも高額ですよね。だから持っている人は、部屋に飾って見せたい気持ちが、多かれ少なかれあると思いました。それなら、置くだけで部屋がかっこよく見える、掃除機を飾りたくなるスタンドにしようと考えたんです。おかげさまで、発売から4年で60万台を突破する大ヒット商品となっています。
他にはどんな“まさか商品”が山善にはありますか?
「電動昇降デスク」も、自分としては「まさか!」な商品ですね。
電動昇降デスクというのは、高さを電動で自在に変えられるデスクですね。どんなところが「まさか!」なんでしょう?
15万円以上する「高価格・高機能」の電動昇降デスクは、もともと他社様からいろいろ発売されていたんです。でも、ユーザー様が欲しい機能をもれなく備えた商品はなかなかありませんでした。
ユーザーが欲しい機能、というと?
音が静かで、スムーズに上下し、安定感があり、ボタンを押すと記憶させた高さまで上昇してくれるといった機能ですね。そして、衝突検知センサーが付いていることも大事です。障害物に当たったら自動的にデスクの上昇が止まるので、安心安全にお使いいただけます。山善の商品ではこれらの機能をもれなく備え、5万円で販売しています。
5万円…!?
そう、まさにその反応がこの商品の狙いです。「この機能が、この価格で!?」という意味のまさかですね。こちらもありがたいことに大ヒットとなりました。
まんまと、求められていたリアクションをしてしまいました(笑)。そうした“まさか商品”を実現するには、越えなくてはいけない壁がたくさんあるだろうと想像します。いったいどう越えているのか非常に気になるところですが、その前に改めて泉さんの経歴と業務内容を教えてください。
私はもともと営業部で13年半ほど営業職を務めた後、商品企画部に配属され、そこで商品の企画開発の仕事に現在まで約8年間携わってきました。担当するのは、インテリアの中でもホーム用のデスクやチェア、収納商品といったものがメインです。
ただし商品の企画開発とはいえ、市場調査からマーケティングも担当しますし、海外にも出向きます。
え、商品企画で海外にも行くんですか?
はい、商品を海外から仕入れるんです。海外の協力メーカー様との相談・折衝、日本に戻って来てからは各地の営業担当と一緒に商品を置いていただく量販店様に商談に行ったりと、いろいろな業務に携わっています。言うなれば、ものを企画してつくって売るまでの全工程に広く関わらせていただく形です。
とはいえ、私がすべて1人でやるわけではなく、海外の現地スタッフや協力メーカーの社員様、日本の内勤スタッフ、品質管理スタッフ、営業担当など皆さんの協力を得ながら進めています。
想像していたよりも業務の幅が広くて驚きました。
そうですね。他社様と比べても、一般的に想像される“商品企画”の仕事とはちょっと違うかもしれません。広く、しかも深く商品に携わることができるのが、山善の商品企画部の面白さだと思います。
なるほど。先ほどの話に戻りますが、ユーザーの想像を超える「まさか!」な商品をつくるうえで、苦労される点はありますか?
いやあ、発売するまでには、失敗ばかりですよ。先ほどの電動昇降デスクで言えば、開発を始めて商品が発売されるまで、2年ほどかかっていますからね。
2年ですか!なぜそんなに時間がかかるんでしょうか?
例えば家具の場合、まず中国、台湾、東南アジアなどの展示会を回ってベースとなる商品を探すのですが、コレというものが見つからない場合もあります。また、協力メーカー様が決まっても商品が思った通りの仕様になかなかならない場合もあって。
各工程にいくつもの壁があるんですね。
本当にその通りです。そうして「このままでは商品化は難しいな…」となっても、「でも、もう少しだけ頑張ってみようか」「やっぱり厳しいな…」「いやいや、でも」というのを何度も何度も繰り返してます。
聞いているだけで心が折れそうです(笑)
(笑)。そういった壁を越えて、何とか形にしていく感じですね。
でもそうやってあきらめず粘り強くやっていくと、ほとんどの商品が発売までこぎつけられるんですよ。
不思議ですね(笑)。いったいなぜですか?
当然ですが、私1人の力とかでは全くありません。特に大きいのが「海外スタッフの力」ですね。山善は様々な国に現地法人があり、そこでたくさんの現地のスタッフが業務に携わっています。彼らの知識とコネクションが非常に豊富で、彼らからいろいろな情報やアイデアをもらえるんです。
現地法人以外でも、各工程に携わるスタッフのマンパワーが強く、それが支えとなることで最終的にゴールにたどり着けるのかなと。あと山善の人間は、良い意味で「諦めが悪い」です(笑)
泉さんが体現されていますもんね(笑)。そんな泉さん自身が普段から商品企画で心掛けていることはありますか?
“消費者ファースト”と言うと当たり前にも聞こえますが、やっぱり最終的に商品を使っていただくエンドユーザー様に真正面から向き合い、彼らが何を求め、何に対して驚くのかを突き詰めていくこと。これに尽きますね。サイズ1つをとっても、お店の売り場の棚にサイズを合わせるのではなく、実際に使うお客様にとって一番良いサイズは何かを考える。機能に関しても同様です。
具体的にどんな方法で、ユーザーと向き合っていますか?
私はネットで自分の商品の口コミと他社様の同等商品の口コミを、できる限り見るようにしています。これだけ情報があふれ返る中で、お客様レビューには、正解にたどり着く大きなヒントが隠されていると感じます。もちろんすべてのレビューが的を得ているわけではないかもしれませんが、たくさん見れば見るほど、真実に近付ける気がするんです。
そうしたレビューから、ユーザー様は何を高く評価し、何を欲しがっているかをつかみ取り、そこに自分の経験も活かしながら「まさか!」と思われる商品に繋げていく形です。やはり諦め悪く、粘り強くがポイントだと思います。
熱くてかっこいいですね。あと、「山善アンバサダー」という方々もいらっしゃるとか…
そうなんです。「RoomClip」という日本最大のインテリア実例共有サイトがあって、発信力の強い方々が当社商品の使用シーンを投稿してくださっています。そういった方々に「山善アンバサダー」になっていただき、意見交換会を実施しています。
ヒット商品である「バスケットトローリー」シリーズもまさに、そういうアンバサダーさんのご意見で改良を繰り返してきました。「本体のメッキ塗装なんかあり得ない」「キャスターの色があり得ない」とか、結構厳しいご意見をいただきます(笑)。ただ、そういったお声が、結果的に4年間で55万台を超える人気シリーズに繋がったのだと思います。
現地スタッフとずっと苦楽をともにしてつくっていることもあって、商品が大ヒットした時は、得も言われぬ喜びを覚えます。
真摯にユーザーと向き合う泉さんの姿勢が素敵です。最後に、泉さんの今後の夢を聞かせてください!
私はもともと海外で商売したい想いが強く、それで今こうして海外と密接に関わる業務に携わらせていただいているのですが、今後はぜひ「欧米を中心とした海外での販売」も進めていけたらなと。日本には決して規模は大きくなくても、例えば檜を使った家具など、素晴らしいプロダクトを手掛けるメーカー様がたくさんあります。加えて昨今は空前の日本ブームで、日本のプロダクトがクールでかっこいいと言われています。
そうした商品とうちのオリジナル商品をすべてひっくるめ、山善という窓口を通して各国の展示会に出展し、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど全世界に販売する。それが近い将来に実現したい、私の夢です。
スケールの大きな夢、実現を楽しみにしています!
山善らしい諦めの悪さで頑張ります(笑)
※このインタビューは2020年11月に行いました。部署名・役職等は取材当時のものです。
■1999年4月
新卒入社 家庭機器事業部 商品部(現 商品企画2部)
■1999年11月
大阪営業部
■2005年10月
東京営業部
■2006年4月
関東営業部 ※旧東京営業部と旧北関東営業部統合
■2013年4月~
家庭機器事業部 第2商品統括部 商品企画2部 課長