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日本の製造業を支えてきた“モノづくりのまち”・東大阪に
西日本の戦略物流拠点となる「ロジス大阪」を新設
2025.02.07
昨今、いわゆる「2024年問題」であるトラックドライバーの労働時間の制限による輸送力不足が大きなニュースになっている物流業界だが、抱える課題はそれだけではない。資源燃料高騰、慢性的な人員不足、そしてカーボンニュートラルへの対応など、様々な課題に直面している。大きな改革が求められている物流と深く関わる山善は、持続可能な調達と供給の実現を目指し、長期的な物流戦略を強化してきた。その一環として、大東市にあった従来の「ロジス大阪」を「ロジス大東」と改称し、東大阪市にて新たな西日本の最重要物流拠点となる「ロジス大阪」を新設。2025年1月より本格稼働している。
「ロジス大阪」は、切削工具や測定工具、メカトロ機器、環境改善機器など山善ツール&エンジニアリング事業部、産業ソリューション事業部の生産財をメインとして取り扱う、西日本の戦略物流拠点に位置づけられる。2025年1月の本格稼働を前に、2024年12月には施設内のメディア内覧会を開催。物流企画管掌の執行役員である松田慎二と、「ロジス大阪」所長であるヤマゼンロジスティクス株式会社(※)の辻村宗一が説明を行った。
※2025年4月1日、ヤマゼンロジスティクス株式会社は、社名を「ロジライズ株式会社」に改称します。
全国13カ所の「ロジス」、104カ所の「デポ」を統括・管理するのが、山善の100%子会社である、ヤマゼンロジスティクスだ。商品特性に合わせた物流システムを構築し、高度な情報機能と全国的なネットワークにより物流展開。物流戦略におけるノウハウを活かし、様々なニーズに応じた物流体制で「常にお役に立てるロジスティクスベストパートナー」を目指している。
今後は路線便に頼らない自社配送エリア拡大を実現することで、輸配送コストの抑制、 当日・翌日配送エリアの拡大、エリア需要に応じた適切な分散在庫などのさらなる物流体制の強化をめざす。
※工作機械などの一部商品は、販売店・エンドユーザーに直接納品される場合があります
生産財事業だけでも3,000を超えるメーカー各社より仕入れたものを、5,000社の販売代理店を経て、全国のものづくり企業に商品を提供している山善は、“特定業種の輸配送プラットフォーマー”を目指し、「物流2030年ビジョン」を掲げている。
その中核を担うのが、大規模配送拠点(ロジス)と小口配送拠点(デポ)を活用した、自社配送エリアの拡大だ。各地に設置された「ロジス」を中心に、周辺エリアの主要都市に「デポ」を設置。各メーカーから集められた商品は「ロジス」で保管され、各地の「デポ」に定期便で必要な商品の配送をおこなう。注文から配送までの時間短縮によるサービスレベルの向上だけでなく、配送距離の短縮による、環境負担の軽減にもつながる仕組みだ。
「今後はロジスとデポの連携を強化させ、自社便配送エリアを拡大。ロジスを倉庫とし、自社定期便で在庫補充を行いながらデポがフロント物流を担う、といった流れになる。ロジス大東と新設したロジス大阪を比較すると、在庫アイテム数は現在の6万から10万へ拡大しつつ、130名が必要だった作業員は100名に省人化。自動化やロボットの活用で人為的ミスなくスピーディーに、“歩かせない” “待たせない” “考えさせない”倉庫で物流品質を向上させる」とロジス大阪の所長である、辻村は語る。
「ロジス大阪」では、物流の効率化と省人化を実現するため、最新の物流システムを導入。まず庫内物流の自動化を推進するために、シャトル自動倉庫や商品格納先を光と音で知らせるプロジェクションマッピングシステムなどの従業員の成熟度を問わない最先端のシステムを導入している。また、AMR(自律走行搬送ロボット)を導入し、作業間における運搬を行っている。これにより、商品の保管から出荷までの一連のプロセスが効率化され、少ない人員でも作業が可能となり、作業スピードだけでなく人為的ミスの軽減など品質の向上も図れることになった。ここから業界に先駆けた新サービスも生まれている。
卸売特有の、同じ納品先から一日に何度もバラバラとやってくる注文(五月雨受注)にどのように対応するか。この答えこそ、創立70年以上の山善のノウハウが詰まった「おまとめ配送」だ。注文が入る度に納品先カートに商品を蓄積していき、出荷時間ギリギリまで待って、商品をまとめて発送することで、受け側の対応の手間と、配送回数の減少を両立している。
「ロジス大阪」では、名寄せ用シャトルラックの導入により、「おまとめ配送の半自動化」を実現。納品先からバラバラと五月雨式に注文を受けるたびに、同じ納品先の緑のコンテナがその都度運ばれてくる。そのコンテナに商品を入れるだけで販売店ごとに「おまとめ」可能。人為ミスを防ぎつつ作業の効率化を実現することで、ロジス大東と比べ1/5の人員で対応可能となった。業務レベルを向上しながら省人化も両立するこの仕組みは、業界の課題解決に向けた「新たなモデルケース」の一つになる。
東大阪という全国でもトップクラスの金属加工の中小工場が集積する立地を活かし、自社のトラック(自社便)で業界他社の荷物も一緒に同じ納品先などへ運ぶ試みにもチャレンジ。積載率の向上による業界全体の輸送コストとCO2の削減を両立する、“物流のライドシェア”ともいえる「共同輸配送」を実施していく。
「同業の問屋・メーカーの荷物は同じ納品先というケースが多いので、ロジス大阪でお預かりして、同じ配送先へまとめて配送する。そんなシェアする仕組みを構築していきたい。」と松田は語る。
また、配送効率が高い夜間から早朝にかけて配送する「早朝配達サービス」の導入の準備も進めている。
昨今、大手物流会社やメーカーが「共同配送」の実施を発表しているが、山善も同業他社とともに、「ロジス大阪」で実現し、今後は全国へ広めていく予定だ。物流のあり方そのものや常識を進化させる挑戦は、はじまったばかりだ。
ヤマゼンロジスティクス株式会社の社名変更に関する詳細はコチラ