昔のくらしから学ぶ! 8月のテーマ「レジャー・イベント」 ロハスな水遊びに、心ときめくお盆。今年の夏は昔の人の遊びを試してみては?

文: 和文化研究家 三浦康子

人気のレジャーはハイキング

人気のレジャーはハイキング

なんでも便利な今と違い、昔のレジャーは素朴に楽しめるものばかりでした。例えば、電車も車もない江戸時代の人気のレジャーといえば、歩いて行けるハイキング。家族や知人とちょくちょく出かけては、景色をみながら弁当を味わい、ダジャレをとばして笑い合う実に和やかなひとときで、「野がけ」「野遊び」などと呼ばれていました。お金のあるなしに関係なく誰もが楽しめたので、江戸っ子の間ではガイドブックもよく売れたそうです。

また、四季折々でその楽しみ方にもバリエーションがあります。梅や桜の花見はもちろん、人日の節句(今でいう「七草粥」)には七草をつんで食べ、桃の節句にはひな人形に春の景色をみせるために磯辺や野山に出かけ(これを「ひなの国見せ」といいます)、端午の節句にはよもぎをつんで草餅を作るなど、年中行事も暮らしを彩る楽しいイベントだったのです。

憧れのお参りツアー

憧れのお参りツアー

奮発して旅行に出ることもありますが、そのほとんどは「お参り」でした。それは、昔の人が信心深かったというよりも、神社仏閣が観光地でもあったからです。旅の目的は門前町に広がる歓楽街で「精進落とし」という名目ではめをはずして遊ぶことにあり、お参りはそのついでというのが本音でした。

それに、どこへでもすぐに行けるわけではありませんから、途中の宿場町もレジャースポット。江戸っ子に人気の「江の島弁財天」に向かうだけでも、品川、川崎、神奈川、保土ヶ谷、戸塚など楽しい楽しい宿場町があり、これが往復となるわけですから、時間もお金も余裕がないとできません。とりわけ人気が高かったのは伊勢神宮で、「伊勢に行きたい伊勢路が見たい、せめて一生に一度でも」と唄われるほど、庶民にとって伊勢参りは夢の旅でした。

涼は水辺で・・・・・・昔のロハスな夏休み

涼は水辺で……昔のロハスな夏休み

夏といえばレジャーシーズン!夏休みを少しでも長くとりたいのは今も昔も同じですが、昔の人の思いは切実です。なぜなら、扇風機もクーラーもありませんから、暑い盛りに働きたくはないのです。

夏休みというシステムがなかった江戸時代、思うように休みがとれないのは武士(今でいう公務員)と大きな店の奉公人(今でいう一流企業のサラリーマン)ぐらいです。そのほかは自営業みたいなものですから、食べるものさえなんとかなれば自由に休むこともでき、朝夕の涼しい時間帯だけ働く人も多かったとか。そうして仕事を休んで何をするのかといえば、涼を求めて水辺へ行きました。川や海で水遊びをして楽しんだり、涼しい川原を散策したり、行水や夕涼みをして過ごしたり・・・・まるで、エコやロハスの原型をみているようです。

心ときめく・・・・・・お盆休み

心ときめく……お盆休み

そして、夏のビッグイベントといえばお盆。祖霊供養とともに、盆踊りや花火も、祖霊をなぐさめ別れを惜しむ行事です。お盆には帰省するのが当然でしたから、こうした行事には家族や地域の結びつきを深める役目もあり、帰省した人々の再会の場や、男女の出会いの場にもなりました。盆踊りの歌詞に色恋ものやきわどい内容が多いのは、そのためです。

また、本来、盆踊り(旧暦7月15日)の晩は満月にあたるので、照明のない時代でも明るく過ごせ、月の引力の影響で人も高揚するため、ビッグイベントには最高の日。お盆が過ぎれば、夏も終わりに向かいます。今でも盆踊りや花火をみているとなぜか切なくなってくるのは、過ぎゆく夏や出会いと別れを感じるからかもしれませんね。