昔のくらしから学ぶ! 1月のテーマ「エコ&節約術」 世界に注目される「もったいない」。永く大事に使う心と知恵とは?

文: 和文化研究家 三浦康子

必要な分だけ、大事に使う

必要な分だけ、大事に使う

日が昇れば起きて働き、日が沈めば休んで眠る。こうして自然に寄り添いながら暮らしていた時代には、必要なものを必要な分だけ頂戴し、手に入れたものを大事にするのは当り前のことでした。すべては自然の恩恵です。

今でこそ「湯水のように」といえば、どこにでも沢山あるもののたとえですが、水道のない時代にはそうはいきません。それを物語るのが江戸時代の台所の流しで、今でいうシンクがとても浅くなっています。井戸水をくむ生活では、水はふんだんに使うものではありません。井戸から運んだ水は水がめに蓄えられ、柄杓でくんではたらいに移し、炊事や飲み水に一滴残らず使うので、流しに水を溜めることもなく、浅いほうが作業しやすいというわけです。

必要な分だけ、大事に使う

お湯を沸かすのも大変ですから、お風呂がわりの行水には日向水(ひなたみず)を使いました。水をはったたらいを日向に出しておけば温かくなる、まさに自然のソーラーシステム。燃料や労働時間も節約できる、暮らしの知恵です。

修繕をして、末永く使う

修繕をして、末永く使う

使い捨てを好しとせず、修繕をして末永く使うのも昔の流儀です。傘が破れたら張りかえる、塗りものが剥げたら塗り直す、下駄はすり減った歯を入れ替え、さらに鼻緒のすげも取り替えればずっと使えます。庶民は最小限の家財道具しか持てませんでしたが、どれもこれも一生ものの大事な道具だったのです。当時はそれを支える職人がいて、職種もバラエティーに富み、修繕専門の職人もたくさんいました。作る人・売る人・買う人・直す人・運ぶ人・再利用する人などの社会システムが、ちゃんとできていたのです。

また、着物もとことん使いました。好きなように着物を新調できるのは上流社会だけですから、そこで飽きた着物が古着屋を通じて庶民の手に渡っていきます。もともと着物はどんなサイズにも対応できる優れものですし、和裁をするのはお手のもの。大人用としてどんどん着まわし、古くなれば使える部分で子供用に作り直します。またそれを着古したあと、ほどいて次の子供のおしめにし、おしめがとれたら雑巾にして、ぼろぼろになったら火をおこす際の炊き付けにします。さらに、この灰を洗濯や肥料に使ったり、灰を買う業者に売ったりしたそうですから、無駄なものは一切ありませんでした。

世界が認めた「もったいない」

世界が認めた「もったいない」

こうした工夫を受け継いできたのが、私たちのおばあちゃん世代です。雨水をためて庭にまいたり、茶殻を使って掃除をしたり、酢や重曹を掃除洗濯に使ったり、服の繕いやリフォームだって上手です。その姿は現在のエコ家事そのものといえますし、おばあちゃんお得意の、ほうきを使った掃き掃除や風呂敷バッグは、今やトレンド!

このように、昔の人にとっては当り前だったことが、今またスポットを浴び、「もったいない」は世界的なキーワードになりました。また、昔懐かしい蚊帳(かや)がエコな視点で再評価されたばかりか、世界中でマラリア防止に役立っているのも、素晴らしいことでしょう。こうしてみると、まるで灯台下暗し。地球に優しくする術(すべ)を、日本人は沢山もっているのです。